敢えて「退行」を選ぶ
私は元々、どんな趣味に対しても向上心が旺盛で、上手くならなきゃ意味がないと考えるタイプでした。
ダンスに関してもインストラクターという立場になってからは、頭の中には「進歩」「上達」という概念しかありませんでした。
四六時中、上手くなるには…上手くさせるには…ということばかり考えていたのですが、
2年前からのコロナ中断期のお陰で、考え方を整理、改変することができました。
ペアダンスをする機会が圧倒的に少ない日本の、さらなるローカル地域に興した小さなダンスコミュニティーが、欧米の最新傾向を採り入れる必要があるのか?
私が大阪にWCSを興した7年前も似たような考え方を持っていたのですが、、
その肝となる部分はちょっと違っていました。
その頃の基本方針は、
「基本的な踊り方を大事にして、テクニックや難しいコンボパターンに手を付けるのは止めよう」でした。
一方、今回のコンセプトは「基本を大事に」というよりは、「シンプルに踊る」。
ペアダンスを趣味にするにしても、このアフターコロナ、極端な円安経済を考えたら、海外に行って現地のダンサーやイベントゲストと踊る機会はほとんど無いに等しいでしょう。
だとしたら、練習の目的や到達点にそれを持ってくるのはナンセンス。
コミュニティー内での通常のダンスライフをいかに楽しむかに全面シフトするなら、必ずしも業界の最新スタイルを模す必要はありません。
頭の中から「進化」を捨てた時に視えたのは、「現在の感覚で考える基本」ではなく「黎明期のシンプルな基本」でした。
進化するのを止めるなら、敢えて20世紀の踊りに退行するのも有りじゃないか?
海外のWCSは他のダンスジャンルから入ってくるダンサーたちに支えられる部分がとても大きいのですが、日本ではなかなかそれが進みません。
現在、私が考えているのは、
他のジャンルのダンサーにWCSをそのまま押し付けるのではなく、WCSを解体する勇気を持って踊りやすいダンスに改変してみようという試みです。