内なるハーモニー
遊びは自己顕示欲の表れ。
芸事は全部そう。いや人間のあらゆる活動の源泉は繁殖の為の自己アピールから来ているのでしょう。
派手に飾りたいのも本能のうちと考えられますが、、
人の好みはいろいろ、得手不得手もある。
飾り付けの多い踊りは性に合わないという人も確かにいます。
私は自己顕示欲がある一方で「目立ちたくない」という気持ちもとても強いのです。
カッコよさへの憧れがあるので、綺麗にやり遂げられないことならいっそ人の目に付きたくないという心理なのかもしれません。
遊びに関しても、さらっと自然に、そして完璧にやれないとカッコよくない気がするのです。
だから女性の方からあまりに仕掛けられると、それに応えられるか自信が持てない。
さらに女性のアピール努力の邪魔をしてしまうのではないかという不安も起きます。
だから、どちらかというと無難で手堅いダンスをしたくなる。
ペアワークの中で遊びを完遂するには、双方の意識と音楽とを重ね合わせて調和させることが必要です。
遊びの源泉は、外への自己顕示欲。
しかし、必須条件には内なる調和。
この相反、葛藤が私を疲れさせるのです。
私感でしかないのですが、私はWCSを踊る際、アメリカ人女性よりヨーロッパ人女性の方がしっくりくる感覚があります。
ヨーロッパ人リーダーである Jakub Jakoubek に双方の違いを訊ねた際、「アメリカ人はギャラリーを意識した派手さを好み、ヨーロッパ人はフィーリングを好むように思う。」と答えました。
正にそれ!
内と外。相反する要素のうち、アメリカ人は外へのアピール意識の方がより強く、ヨーロッパ人はまず内へのハーモニーを尊ぶ。
私は派手に飾ることより、コネクションを通してパートナーの意識が私にしっかり向いていることを確認したい。
物理的に感じられる押し引きのシンクロ感に心のハーモニーが重なると、えも言われぬ幸福感に包まれて、WCSをやって本当に良かったなぁと思うのです。
私は年数の割にソーシアルで手合わせした人数は多くありません。
それでもプロアマ問わず、踊った後の充実感を一番多くもらえたのはヨーロッパ人女性でした。
たまたま私が組んだヨーロッパ人女性たちに、真面目にレッスンを受けて練習を積んだ人が多かっただけかもしれません。
でも、名が通ったプロダンサーでさえ、私に向かってくる同調意識はヨーロッパ人プロの方がよりはっきり感じ取れるのです。
そもそも、初顔合わせのパートナーか親しい間柄かどうかで、相手への同調感に差を付けるプロは嫌でしょ?
だとすると、ヨーロッパ人女性への私のシンパシーも理解してもらえると思います。