ダンスインストラクターじんじんの日記

Salsa, West Coast Swing のインストラクターじんじんが思いのままをつづるブログ

WCSは遊びだらけ

サルサとWCSで共通するのは、コネクションを味わうべきダンスであるということ。

 

では、最も大きく違うのは…?

 

それはスタイリングや遊びに対する捉え方ではないかと思います。

 

サルサはテンポが速い上、回転技が多いためにリーダーはパターンを遂行するのに忙しく、自身がスタイリングできる余地はフォロワーほど多くありません。

スタイリングやボディームーヴメントはフォロワーに与えられた物と考える人が多いように思います。

 

対するリーダーが持てる強力な“飛び道具”は、遊び。

しかし、遊びをリードの合間に混じえて踊ることに気が向くのは、ほとんどが中上級以降になってからでしょう。

大多数のペアがリズムとパターンに追いかけられるように踊っているのが現実です。

 

一方、WCSではスタイリングも遊びも、権限は男女双方に同等に与えられます。

やれる力のある人は、相手の力量を見てやれる限りのことを挟み込むつもりで踊ります。

リーダー、フォロワーどちらも自分から仕掛けられるので、リーダーはトッププロでさえあまり難しいパターンは使いません。

 

はっきり言って、パターン遂行よりスタイリングや遊びがメイン。

 

これはもう本当に明確で、海外では初級レベルのペアでも基本的なパターンだけで済まそうとはまずしません。

だから初級レベルのうちからミュージカリティーを大切にすることを学び、音楽をよく聴いて、曲とパートナーと自分という三位一体を目指そうとします。

 

一般的な日本人ペアダンサーにとって、こういう遊び心を持って踊るというのは本当に難しい。

やろう!やろう!と身構え、予め用意した動きを始めるのは、本当の意味で「遊び」とは言えないから。

 

さらにリーダーにとって、相手が仕掛けた遊びに応えて、自分が段取りしていたパターンを一旦保留して「遊び返す」のは、もっと難しいかもしれません。

 

私は自分が関わった生徒さんで、こういうことを自然にやれる域にまで達していると思われる人にまだ出会ったことがありません。

ですから、レッスンで遊びについて取り上げる時は「仕掛ける側は用意して始め、受ける側は相手が始めたから頭の引き出しから受け方を取り出して使い返す」という教え方をしました。

 

実際のところ、こういう遊びは本人のセンス次第。

教わってやる物じゃありません。

曲の展開とダンスの理論が感覚として身体に染み込むほどに理解できていて、先達が過去やってきた遊びを見てTPOと結び付けて記憶し、チャンスを逃さず瞬時に実行できる力。

 

うーん、私にも無理だ。

やっぱりスタートは用意周到で。