共有軸と重心意識
前記事の内容に関連して、もう一つ記しておきたいことがあります。
steps: Salsa & WCS in Nagoya ブログ
「重心意識3(良いリーダーは女性の後をいく)」2016/10/05
手(コネクション)という “力点” にしか意識が向かないリーダーは自然と肩に力が入り、重心が上がってきます。
一方、リードとは腕力で直接パートナーを動かすものではないと分かっている男性は、重心が低い。低い重心で優しく女性を踊らせます。
手で引っ張り回したりせず、自分のステップでパートナーを運ぶ。リズムとタイミングを与えるだけで女性は勝手に動いてくれることを知っている。
だから、上半身はリラックスしていて、ステップする下方に向かって重心が下りるのです。
また、リード&フォローに関して「自分が、自分が...」と、がっついたところがない、ある意味、達観した落ち着きは呼吸を整えます。当然、パートナーと息を合わすのも容易になる。
一体感があるので、相手に先んじて動くこともない。
むしろ、自分で作ったリズムに乗って動いていくパートナーの後を追うようにして流れに乗っていく感覚。
以前、お話した女性主導の意識はこんなところでも活きると思います。
ペアダンスには、ダンサー個々の軸の他に、二人で共有する第三の軸が存在します。
ステップでペアワークを行うサルサやWCSでは、この共有軸の重心を低く作った方が安定感が生まれます。
一方、タンゴの場合は上半身を引き上げて胸郭で共有軸を作る感覚が強いので、重心も必然的に高くなります。
サルサやWCS、アルゼンチンタンゴではその重心意識を感じるべき位置は全く異なるのですが…
面白いことに、上手に踊るリーダーの場合はフォロワーに先んじて動くのではなく、フォロワーの後を追って動くような落ち着き感があることを指摘しています。
これ、正しくアルゼンチンタンゴの極意。
ブログ記事の中でリンクした、女性の意を汲んで動き出したり、リード展開を図るべきという「女性本位のリード」といい、タンゴを学ぶことで得られるリードの秘訣はまだまだたくさんありそうです。