まずは揺らぎを認識する
踊る時、1拍に1ステップでは動きが平坦すぎてつまらないので、ハーフカウントを挟んでリズムに変化を付けるのが普通です。
例として、1小節4カウント中
奇数カウントに半拍を入れると
・one and, two -, three and, four -
社交ダンス風にいうと
・quick quick, slow -, quick quick, slow -
リズム譜読み風にいうと
・タタタン、タタタン
「タン」の “ン” は、実際に音を鳴らすわけではないし、ステップを踏むこともないのですが、
1小節を8つに刻んだうちの、半泊(8分音符)として “時間” はきちんと存在することを理解しないといけません。
(これが疎かになった解りやすい例が、サルサの「4カウント目を待てない」)
ダンスを習う大半の人にとって、1小節は最大でも “均等な”「8分割」となります。
ところで、
前にも述べた通り、音楽にはスウィングというリズムの揺らぎが存在します。
これをダンスの世界では、どう概念するか…
簡単にいうと、1拍を半分ではなく3つに刻んで、2つある切れ目のうち、後ろの方をステップタイミングとするのです。
すると、
50:50だった半拍の位置が、66:33までずれます。
こうするとリズム概念的には、1小節が8分割から12分割へと5割増しになるわけです。
最初に挙げたリズム例でいうなら…
・one and-á, two -, three and-á, four -
・quick-á, slow -, quick-á, slow -
・タッカタン、タッカタン
実際に半拍目で踏むのは “and" ではなく、
“á” や “カ” のタイミングになります。
さらにいうと、実際の音楽は単純に3分割とは限らず、2分割のタイミングから僅かに遅いだけという場合もあります。
演奏するプレイヤーや曲によって揺らぎの程度は様々。
不均等の割合は正に無限なので、
ダンサーがそれを感じ取って動きに反映させるには 12分割どころか、
もっと細分認識できる「分解能」を求められるのです。
つまり、飾りがたくさん付いたドレスを仕立てる人には、5ミリ刻みのメジャーではなく、それに相応しいしっかりした道具が必要ということ。
音楽的な細かい表現を動きとして体現するには、まず楽典的にその表現の “存在” を認識しているかどうかが重要なのです。