ものを習うということ
ダンスはジャンルごとに使う音楽も違えば、動き方やステップの質も違います。
いくら他のジャンルで経験を積もうと、新しく習っている段階ならそれまでに得た知識や感覚は一旦すみに追いやって、謙虚になることが重要だとつくづく感じます。
私はサルサ時代に、足裏で床を蹴り押すステップに着目しました。
続いてWCSでそれをさらに深く追求し、今またアルゼンチンタンゴでもそれが重要ポイントであることを知りました。
ところが、同じ「足裏で蹴り押す」でも、WCSとタンゴでは違うんです。
WCSでは、足の移動と上体の移動は別々に行います。
その感覚を数年かけて磨いてきた私は、
アルゼンチンタンゴを始めてからも、踏み出す足を置いてから遅れて体重を載せ替えることを続けていました。
果たして、実際にペアを作って動くと…
私が前進、女性が後退をする時、頻繁に接触事故が起きるのです。
最初はフレームが弱い女性が、私の動きを感じ取れないからだろう…と思っていました。
ところが、ある程度の経験者と組んでも同じことが起きる。
次第に私は、自分には重大な欠点があるのでは…?と疑うようになりました。
ビンゴ!
私は「足裏で床を蹴り押す」という共通点ばかりに目が行って、「移動タイミング」の違いに気が付かなかったのです。
本当であれば…
先生がやるお手本をよく観察すれば、初回レッスンで気付くほどの明らかな違い。
元々、私は活字を追ったり、人の話を隅々まで聴いていられない、落ち着きのない子でした。
ステップについてのレッスンの時も、きっと注意力散漫で、いい加減な受講態度のまま解ったつもりになっていたのでしょう。
それはサルサやWCSで経験を積んできたから今さら…という、先生からすれば鼻持ちならない過信や高慢もあったと思います。
それまでのタンゴレッスンの時間、
意識としては自分を中心に置いて受講する態度でしたが…
この “間違い” を知ってからは、
「自分は受講者の一人に過ぎない」という受け身の立場を強く意識するようになりました。
謙虚に、謙虚に…
他のダンスで鍛錬しているから…と、タンゴレッスンをおざなりにする態度を改めました。
レッスン間隔を開けると、忘れる量が膨大になります。
前にやったはずなのに上手くできない!
先生に同じパターンの質問をする自分が嫌になりました。
そのダンスの感覚が身に着くまでは2週間空けたらダメ!と考えて、教室に行く頻度を上げ、家でシャドウ練習やイメトレする回数を増やしました。
昨日、難しめの「移動しながらの右向き半回転」がすんなりできたのも、ウォーキング練習のお陰ばかりではなく、
習うということに謙虚になり、タンゴに費やす意識量が増えたことが形となって表れたような気がするのです。