ペアダンスによる幸福感2「滅私」
ハーバード大学の検証によると、ある難病に悩む患者が同じ病の人の話を聞くボランティアを実施したところ、ボランティアをした人の幸福度は受けた側の7.6倍も向上したといいます。
我々人間は人に施されるより、施す側に立った方が幸福度が高くなるのだそうです。
端的な例でいえば、好きな人にプレゼントをあげた時、場合によっては貰う人よりプレゼントした人の満足感の方が上回ることも案外多いのではないでしょうか。
ここまでの話を頭に置いた上で、読んで欲しいのですが…
ペアダンスというのは、男女とも自分がしたいように動いたら踊りとして成立しません。
お互いが相手の為に踊るという意識を持ち合って動くと見事に噛み合って、そのシンクロ感が快感を生み、観る者にも表現としてその高揚感が伝わります。
ペアダンスを趣味とした人がハマる確率が高いのは、それが「施し」無くしては踊れないダンス。
つまり、そのダンス自体が持つ楽しさ以外によっても幸福感に満たされやすいダンスだからです。
ところで、昔から私が踊りたいと思うダンスはマイナーなスタイルが多いんです。
したがって一緒に楽しめる人が周囲におらず、まずはそのダンスを拡めるところから始める必要がありました。
自分自身できるだけ早く上手くなって、微力ながらも伝搬者になれるよう、モチベーションを高めて練習を重ねました。
イベントに行っても、ソーシアルを楽しむより、優れたインストラクターのワークショップを受ける方が好き。
できるだけ多くのクラスを受けられるよう体力を温存して、ソーシアルはあまり踊りませんでした。
元々ソーシアルには量を求めないタイプなので、一晩に一曲も踊らない日があっても不満は持ちませんでした。
それより新しい発見、良質なダンス知識を得た時の喜びの方がずっと大きい。
それを要約し、トレーニング法として組み立てる。
つまり早く上達できる近道を示して、自分が素晴らしいと思うダンスを楽しんでくれる人を一人でも増やしたい。
私は有名になりたいわけではないし、人脈を作りたいとも思いません。
むしろ、目立ちたくない方。
かといって、人の目にさらされる位置に出て行かないと、マイナージャンルを拡めることはできない。
こんな葛藤にあっても、マイナージャンルのコミュニティー作りに挑めたのは、自身の愉しみの為ではなく、あまり知られていないダンスの素晴らしさを拡めるという喜びがあるからなんでしょう。