相反と複合が面白い
WCSには、いろいろなパターンの基となるようなベーシックステップはありません。
一番最初に習うパターンとして、Sugar push がありますが、
ただただ、一番単純だから…という理由に他なりません。
「Walk, Walk, Triple-step, Triple-step」という6カウントのステップリズムも、頻繁に使われるからという理由だけであって、これに従わないといけないルールもありません。
フレームがしっかりしていて、体重移動を判り合えるペアの間であれば、ビートに対するステップの刻み方は、どんなにイレギュラーであっても通じるし、むしろ多彩な表現として歓迎されるのが WCSの特徴です。
さて、
WCS を習う人は、基本として「音楽を2カウント毎のブロックに分けてステップする」ことをまず教わります。
2カウントのブロックを、
・Walk, Walk と2歩踏むか
・Triple-step と3歩踏むか
が、基本的な考え方です。
まあ、世の中は何でも同じだと思いますが…
アレンジで一番最初に思い付くのは、省略でしょう。
ステップは左右2つの足で為されるので、2歩踏めば、次の足は再び同じ足になる。
だったら、
2歩分を省略すれば、結果は同じ。
「Walk, Walk, Triple-step, Triple-step」というシンプルなパターンを、
「Walk, Walk, - - step, Triple-step」
と踏むのは、WCS ソーシアルの現場で最もよく見られるアレンジです。
まだ「基本を覚える」という段階にある人は、「…であらねば」という規則に縛られがちです。
WCS では、初級のうちから「…であらねば」と「タガを外す」という相反する練習を並行して行わなければなりません。
仮に脳内に “ダンス感覚野” という部位があるとするなら、
私たちは常に複合的な作業を脳に強いているわけです。
ダンスジャンルとして、いろいろなバックグラウンドを持つダンサーたちが WCS界に集まってきていますが、
中級以上まで進むと、大半のダンサーが WCSに居着き、WCSを自分のメインダンスと考えるものと思います。
知的、感覚的に、相反さえするものを自分の中で複合させてパートナーに伝え、
パートナーからは新たなアレンジが加わって返ってくる。
うまくいけば、これがループとなって続きます。
身体的、感覚的な一体感は、今までやったどのダンスでも味わったことがないと感じるのも納得がいきます。