共有ではなく奉仕
リードを学ぶにあたっては、ステップや手わざを憶える前に、まず目標を高いところに設定するのが良いと思います。
「優れたリーダーは、一般的によく言われる『パートナーと一曲を共有する』を念頭には置かない。」
「共有じゃなく、パートナーが気持ちよく、楽しく踊ることを第一に考えて、自分自身がダンスを楽しもうという思いは一先ず捨てる。」
「リードを学ぶ目的は、パートナーが喜んでいることを喜べる人になること。」
全員がこれを最初に頭に入れた上でリードを学べば、フォロワーを乱暴に引っ張り回すリーダーはこの世からいなくなります。
steps: WCS & Salsa in Nagoya ブログ
『フレームで感じるパートナーの心』2014/06/15
天地との feeler は体軸。
では、パートナーと自分を結ぶ feeler は…?
それはフレームです。
特にそれを強く感じるのは、クローズドポジションで女性の背中に回した男性の右手。
手のひらはもちろんですが、腕全体。そして、その上に重ねられた女性の左腕までが最も重要な feeler になります。
サルサのようにビートに合わせてステップタイミングが決められた踊りだとピンとこないかもしれませんが、
“いつ”
“どの方向に”
“どのように”踏み出すか分からないダンスでは、男女が心を一つにするためにフレームがどれほど重要な役割を担っているかが分かります。
以前、WCSの Ben Morris & Jennifer Deluca のワークショップで、音楽もカウントもない状態で「いかに男性がスタートの一歩を女性に伝えるか」という練習をしたことがあります。
実際には踏み出す足の一つ前のタイミングで、反対側の足に体重を乗せればいいのですが、、、
ローテーションで Jennifer と組んだ私は、体軸とフレーム感覚で彼女に見込まれたのか、ローテからしばらく離れて、もっと高度なことを課されたのです。
それは、私自身のタイミングでスタートを切るのではなく、彼女の心の動きを読み取って彼女のタイミングでスタートすること。
ところが、彼女は見てはっきり分かるような体重移動はしません。
最初は当てずっぽで適当にスタートをリードしました。
もちろん、そんなものが当たるわけもなく、「No.」「No.」の繰り返しでした。ところが、何度もやっているうちにフレームを通して、彼女の体内から鼓動とは違うもう一つのパルスがかすかに聴こえてきたのです。
心を澄ますと、それはまるで左右に揺れるメトロノームのように、ビジュアルとしてイメージできるほどになりました。
メトロノームに合わせて私は片方の足に体重を乗せ、次に反対側に一歩を踏み出すことができたのです。
もちろん、彼女の答えは「Yes!」。
サルサはテンポが速すぎて踊り出す前にこういう「儀式」を行う環境も心の余裕もありませんが、ゆっくりめな曲の時に男性は一度やってみてください。
たとえ結果として女性の体内パルスが分からなくても、それをやったことで一曲を踊り終えるまでの踊り心地が必ず違ってくると思います。