アーティキュレーションとダンス
音楽では、おのおのの音の区切り方やつなぎ方のことをアーティキュレーションといいます。
スタッカートとかレガート、スヌートなどの表現がそうなんですが、実はダンスを踊る際にも、こういったアーティキュレーションを表現できるかどうかが、上手く見えるかどうかの重要な分かれ目のように思います。
普通の人は、どんなスタイルでもベーシックカウントに合わせて踊ろうとするのですが、
本当に上手い人は厳密にいうと、カウント通りには踊りません。
と言い切ってしまうと語弊があるかもしれませんが、
カウントを均等のビートで均しては踊らないということです。
巷で聴く音楽というのは普通、単純な電子音のような集まりでできてはいませんよね。
そのジャンル、作曲者の考えによって、様々なアーティキュレーションや抑揚を付けて演奏したり、歌ったりするものです。
ダンスも同じで、ステップや身体の動きにスピードの変化や抑揚を付けると、格段に上手く見えるのです。
ところが、普通のストリートペアダンス(サルサやスウィングダンスなど)のレッスンでは、ベーシックな動きをトレースするだけで終わってしまい、あとはパターン習得にほとんどの時間を費やす為、アーティキュレーションの存在までは意識が回らないのが現状なのです。
パターンをたくさん知っているリーダー、受けられるフォロワー。
確かに上手いといえるのかもしれませんが、それとは一味違う、洗練された動きというのは、実はアーティキュレーションや抑揚を採り入れた動きであることが多いのです。
これを可能にするのが、全ページで書いた「ビートの分解能」。
単純に、ワン、ツー、スリー… と唱えるのではなく、
「ワンとツーの間にも、微細なカウントタイミングがいくつも並んでいる」という認識で音楽を捉えると、この音はどういった動きで表現したらいいのかが自然に見えてきます。